2012年7月19日木曜日

お江戸タイムトラベル

更新の日にちがすごーくあいてしまいました。
その間、Facebookページにて江戸情報を掲載しております。
ぜひ、そちらの情報をご覧いただければ幸いです。
タイトルは「お江戸タイムトラベル」です!

http://www.facebook.com/oedotimetravel/

2012年3月2日金曜日

遠山の金さんは実在の人物

「今日は何の日?」

「遠山金さんの日~」

って、名奉行・遠山の金さんの日があるなんて驚きですね。

時代劇での「この桜吹雪が~」の名セリフでおなじみの遠山の金さんですが、実在の人物です。
1840年(天保11年)の今日(32)北町奉行に任命されました。

本名は遠山金四郎景元です(金四郎は通称)。若い頃はかなりの遊び人だったことは事実ですが、腕に桜吹雪の柄の彫り物まで入っていたかは、資料が残っていないので残念ながらわかりません。
ですが、江戸版紳士録といわれる『武鑑』にもほれ、このとおり北町奉行として名前が載っております。
名前の左上に小さく「北」の文字が。(アリギリス蔵)

金さんの役宅(幕府のエライお役目につくともらえる屋敷。官舎みたいなもの)は深川にあったようです。
こちらもほれ、『江戸切絵図-本所深川絵図』に、このとおり。
この金さんの屋敷は、鬼平こと長谷川平蔵も使っていたことがあったんですよ。

現在の都営地下鉄菊川駅の近くです。(アリギリス蔵)

町奉行という役職は超激務でみんな早死してしまうほどです。金さんは、北町奉行と南町奉行の両方を務めたという珍しい人でもあります。かなり有能だったのか、それとも手抜きがうまかったのか…。

実際の資料にこうやって名前が出てくると、時代劇中の人物もがぜん親近感が湧いてきませんか?

2012年2月20日月曜日

日本橋、もうひとつの顔

映画「麒麟の翼」が公開されて、盛り上がっている日本橋ですが、
江戸時代、日本橋の南詰めには幕府が設置した大切な施設が2つありました。

橋のたもとの西側には決まり事の書かれた立て看板が並ぶ「高札場」(こうさつば)がありました。
そして東側にあったのが「晒場」(さらしば)です。

晒場とは罪を犯した罪人が見せしめのために晒される場所です。

下記の絵は明治期になって江戸時代の頃の日本橋の晒場を懐かしんで(?)描いたものです。

「徳川時代御仕置図」(『風俗画報』より。アリギリス蔵)
左2人はお坊さんです。
女性と関係を持った「女犯の僧侶」はこのように3日間晒されて、その後、本寺へ引き渡され、寺の決まりによって裁かれました。
しかし、夫のある女と密通の場合は晒のあと問答無用で寺社奉行へ引き渡され、獄門(斬首刑)だったそうです。

道行く人がさほど気にとめていないのは、女犯の僧侶が晒されているのはそんなに珍しいことではなかったからです。

とは言っても、天保12年3月に一度に48人の僧侶が晒刑になった時は、お江戸はその話題で持ちきり。
3日間は見物人でごった返したそうです。

いくら物見高いとはいえ、これは物好きすぎるでしょう江戸人。。。

2012年1月6日金曜日

驚き!大奥の鏡餅曳き

あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

江戸時代、大奥というところは「謎」に包まれていました。
明治時代になってからやっと「こんな風習があった」「建物はどうだった」などいろいろと語られるようになりました。
とはいえ「秘密の女だけの花園」で、しかもすでに「消滅してしまったもの」ですから、興味本位な話、脚色されている話、まゆつばな話なんてのも多いのが事実です。

今回紹介するのは、正月七日に大奥で行われていたといわれる
「鏡餅曳き」という行事についてです。

明治26年発行『風俗画報』より「御本丸大奥年中行事正月七日御鏡餅引之図」(アリギリス蔵)

この人たちいったい何をしているかというと・・・。
正月に江戸城に献上された鏡餅を男の役人と下男たちが、将軍と御台所(将軍の正妻)をはじめとする大奥の面々のまえで、扮装して山車のごとく引っ張っていくというものです。

「え?大奥って将軍以外は女しかいないんじゃないの?」って思いませんでしたか?
実は「広敷(ひろしき)」とよばれる大奥担当の男性の役人たちがいたのです。
左手前に裃(かみしも)をつけて座っている2人の男性がその広敷役人です。

股の間に何やら挟んでいる真ん中の男性は、御膳所の役人です。
彼らの本来の仕事は料理を作ることなのですが、大奥のみなさんに楽しんでいただくためにはこのような扮装もしなくてはなりません。。。

彼の扮装の詳細です。
大すりこ木にまたがって、焙烙(ほうろく:素焼きの平たい土鍋)を笠にし、大根・ごぼうを両刀にみなして、橙を貫いた槍を持ったお付従えています。
すりこ木は春駒(馬)に見立てたと解説されていますが、どう見ても・・・・・・。ちょっと卑猥ですよね。

このように御膳所の役人たちが、変な扮装をして次々と出てきます。これが数十も続きます。
人が足りないので、彼らは裏に引っ込むとまた別の扮装に着替えて出てきて、芸を披露したそうです。

正月から役人に芸をさせる大奥パワー恐るべし・・・・・・。

頑張れ!御膳所役人たち。

2011年11月24日木曜日

江戸っ子の恥じらい?

たまには色っぽい話もありかな~?というわけで吉原の話でも。

弊社所蔵の資料で一風変わったものがあります。

『吉原細見』といわれるもので、花街「吉原ガイドブック」です。
 吉原廓内の地図、茶屋・妓楼の名前、遊女の名前やランク、揚げ代(遊女と遊ぶ代金)など事細かに書かれております。
昭和33年に売春禁止法で吉原が消滅するまで四季折々(という言い方が正しいのかは?)に発行され続けた隠れたベストセラーでした。

隠れたベストセラーとは言いましたが、弊社に所蔵されている『吉原細見』は本当に隠れています。

表紙が「文化八、正月 証文帳」となっているのですが、中身は『吉原細見』!
表紙は「証文帳」。ところが・・・

中身は「吉原ガイドブック」!

吉原の情報は知りたい、行きたい、でも大ぴらにはできないし……

つまり、これを買った男子が家族に見られるとこまるから
取りあえず表紙だけでもとカモフラージュしたようです。

江戸っ子の恥じらいでしょうかね。

『吉原細見』の詳しい読み方はまたの機会にいたしましょう。

2011年11月2日水曜日

幸運とお金をかっこめ~! 浅草酉の市

初期の頃の酉の市の様子。養鶏の収穫祭らしく鶏がいます。
『江戸名所図会』より「鷲大明神祭」(アリギリス蔵)

さあみなさん、今年も「酉の市」のシーズンがやって来ました。
毎年11月の酉の日に開催され、翌年の開運招福と商売繁盛を祈願するお祭りです。

酉の市は東京都台東区千束の鷲(おおとり)神社が有名ですが、都内のあちこちの神社でも行われています。


正真正銘江戸発祥のお祭りで、もともとは養鶏を営む人たちの収穫祭。そこに農具の市が立つようになり、幸運とお金を掻き込む熊手が縁起物として有名になっていったようです。
かの遊郭吉原のお隣ということもあり、浅草・鷲神社の酉の市にはイベント好きの江戸っ子がわんさと押しかけました。

熊手もはじめはシンプルでしたが、だんだんとお多福や宝船、米俵といった縁起物で飾られてにぎにぎしくなっていきます。

髪や襟にさすかんざし熊手も作られて、このかんざし熊手を襟首にさすと、
運が強くなり、いっさいの魔を払い、何事にも勝利できると言われました。
その証拠に『江戸名所図会』には、ちょんまげにかんざし熊手をさしたちょっとマヌケなお侍の姿があります
 


 かんざし熊手をちょんまげにさしたお侍の姿は超レア!
『江戸名所図会』より「鷲大明神祭」(アリギリス蔵)

2011年の鷲神社の酉の市は、11月2日・14日・26日です。
今もその賑わいぶりは江戸時代さながら。
いろいろありすぎたこの一年の厄災をふりはらい、新しきよい年を迎えるために出かけてみましょう。

2011年10月12日水曜日

お江戸紳士録――「武鑑」

江戸時代は出版文化が花盛りでいろいろな種類の本が出ていました。

「武鑑」は大名・旗本などの名前・領国・石高・紋・役職・旗指物などを記した本です。
今で言うところの「紳士録」みたいなものです。
存命活躍中の人々が載っているわけですから、けっこう面白いものとして広く読まれていたようです。
確かに目の前を通り過ぎた大名行列がどこのお殿様でどのくらいの収入があるのか分かったりしたら面白かったろうと想像します。
「武鑑」にも出版社によっていくつか種類があります。
これは『袖珍 有司武鑑』というもの。
馬喰町の出雲寺金吾版で天保18年に刊行したものです。
サイズは15センチ×7センチと小さく、まさに着物の袖の中に入る大きさ=「袖珍(しゅうちん)」ってわけです。

『珍袖有司武鑑』天保18年刊 (アリギリス蔵)

中身は最初に大老→老中→若年寄→と偉い順に続いていきますが、江戸のお役目の最後を見てみると・・・

(アリギリス蔵)


「公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)」と「囚獄(しゅうごく)」が並んでいます。(赤で囲んだ部分)
「公人朝夕人」がどんなお役目だったかというと、将軍が束帯(そくたい)で出かけるときに尿筒(しとづつ)を持ってついて歩くという役です・・・。
「囚獄」は伝馬町にあった牢屋敷の管理をするお役目です。石出家が代々世襲して、帯刀を名乗りました。このお役目は「不祥」ということで、格としては与力格でお目見えできるはずなのですが、江戸城への登城は許されませんでした。

しかも武鑑すら、彼らの前に1行空白を空けて区別するなんて・・・。何だかちょっと切ないお役目です。